COLUMN ソラシェアコラム

オンサイトPPAで設置した太陽光発電設備の無償譲渡後にかかるコストは?

オンサイトPPA契約期間中はほぼノーコスト

オンサイトPPAの契約で太陽光発電をマンションやアパートの屋根に導入した場合、設置にかかる初期費用は無料、ランニングでかかるメンテナンス費用や故障時修繕の費用も、太陽光発電設備を設置したPPA事業者が負担するので無料になります。なぜならオンサイトPPAで設置した太陽光発電設備は、PPA事業者の所有物だからです。

オンサイトPPAの契約が満了したあとは、設置を契約したオーナーに無料で譲渡されます。つまりPPA事業者が所有者ではなくなるため、譲渡されたオーナーが管理・運用の中心になります。契約期間中に支払いが発生しなかったものも、譲渡後は発生してくるので、契約前にしっかり把握しておきましょう。

【無償譲渡後】太陽光発電にかかるランニングコストは?

太陽光発電設備にかかる主要なランニングコストは、メンテナンスです。適切なメンテナンスを行うことで、ベストな発電量の維持や太陽光発電設備のパーツ延命につながり、総合的なコスト削減にもつながります。それだけメンテナンスは重要で欠かすことのできないものです。

オンサイトPPAの契約期間終了後の自主メンテナンスのイメージとしては、1年~3年に1度程度のメンテナンスが必要で、1回あたり3万円から5万円程度の想定になります。ただしこの価格は2022年現在のものですので、オンサイトPPA設置件数が増大するにつれ、価格が下落していくことも考えられます。

【無償譲渡後】太陽光発電に使用している部材の保証は? 入れ替えコストは?

オンサイトPPAの契約期間終了後の自主運用に切り替わった際に、機材のトラブルなどに見舞われないのが一番良いですが、万が一のときのために知識を得ておくことは重要です。各パーツの保証や入れ替えのコスト、入れ替え時期の想定などをご説明します。

太陽光発電各パーツの耐用年数は?

太陽光発電設備の重要パーツといえば、太陽光パネルとパワーコンディショナーです。パワーコンディショナーとは、太陽光で発電した直流電気をマンションやアパートで使えるように交流電気に変換する装置です。

まずは、この2つの部材の法定耐用年数と実質耐用年数(=寿命)を見てみましょう。

パーツ 法定耐用年数 実質耐用年数(寿命)
太陽光パネル 17年 30年程度
パワーコンディショナー 10年程度

 

パワーコンディショナーについて、法定耐用年数の記載がないのは、太陽光発電設備としてまとめて計算されることが主流となっているためです。設備全体を法定耐用年数を17年と計算します。

ここで理解していただきたいのは、法定耐用年数は税務上の数値であり、実質耐用年数はもっと長いという点です。

実質的な耐用年数(寿命)は、太陽光パネルで30年程度、パワーコンディショナーは10年程度と言われています。適切なメンテナンスを行えば、太陽光パネルは無償譲渡後も使用可能で、40年程度運転できるという意見もあります。

パワーコンディショナーについてはPPA契約中に、PPA事業者が1度入れ替えることが想定されていることがほとんどで、運転開始から丁度10年で入れ替えたとすると、契約期間から10年、さらに1度交換後10年運転した年数を割り出せば、無償譲渡後の交換時期が想定できます。

<算出例>

2022年運転開始+初回交換 10年目+2台目 10年=2042年に実費交換時期が想定される

太陽光パネルとパワーコンディショナーの保証は?

太陽光パネルとパワーコンディショナーには、それぞれメーカーの保証がついています。現在日本で流通しているものは、ほとんどが保証期間が統一されています。

パーツ 太陽光パネル パワーコンディショナー
製品保証 10年 ※ 10年

 

※ ほとんどの太陽光パネルには、製品保証とは別に「出力保証」が25年間ついている

とくに注目する点はパワーコンディショナーの10年保証で、寿命と同等の製品保証がついているので、10年以内の故障で機器交換となると保証を適用して交換することが可能ということになります。

太陽光パネルとパワーコンディショナーの実費交換

では最後に、保証対象外の期間にパーツの故障が起きたときは、どのくらい実費がかかるかを見てみましょう。

パーツ 太陽光パネル パワーコンディショナー
交換費用 約2万円/1枚 15〜30万円/1台

 

太陽光パネルの市場価格は、2022年時点で2万円/1枚になります。太陽光パネルの市場価格は技術の進歩などにより年々下落してきました。下表は経済産業省が発表している「生産動態統計」から算出した、国内の太陽光パネル1kWあたりの販売価格の推移です。1kWになるためにはパネルが2枚〜3枚必要になります。

2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020
価格
(万円)
18.0 15.6 12.0 11.0 10.6 10.0 8.7 7.7 7.1 5.5

 

 

2011年からの10年間で約70%も市場価格が安くなったのがわかります。しかも2011年当時のパネルよりも2020年のパネルのほうが、1枚あたりが発電する値を示す最大出力も大きくなっており、それも加味すると相当安くなったと言えます。

もちろんこの価格から同じペースで落ちていくのは難しいと考えますが、ジリジリ価格下落をしていくか、価格が同等でもさらに精度が高いパネルにバージョンアップしていくことが考えられます。

パワーコンディショナーに関しても年々精度が上がっており、太陽光発電で作られた直流電力を交流電力に変換したときに生じるロストが5%を切る機材がほとんどになりました。価格に関しても今後、政府主導の再生可能エネルギー導入推進の影響から、少しずつ下落していく傾向があると考えられます。


今回は、オンサイトPPAで太陽光発電設備を導入したあと、契約終了後にかかるコストについて掘り下げました。ではこの費用の資源となる、契約終了後の収益はどうなるのでしょうか。次の記事でご説明いたします。