COLUMN ソラシェアコラム

グリーンビルディング認証を受けることで得られる効果は?

日本政策投資銀行の「グリーンビルディング認証」とは

まずはDBJ GB認証がどのようなものなのかを改めて確認しましょう。DBJ GB認証は日本で金融機関として初めて(*1)、グリーンビルディング(=環境配慮型建築物)を評価する認証制度としてスタートしました。

現在は日本不動産研究所(JREI)と共同認証体制となっています。不動産に対する知見の広いJREIが認証を行うことで、より精度の高い評価がなされています。評価項目は大別すると4つに分けられます。

① ビルの省エネ・省資源や再生エネルギーの創出・利用などの「エコロジー」分野

② ユニバーサルデザインやテナント(や居住者)に対する啓発や、情報共有と開示などの「コニュニティ」「パートナーシップ」

③ 防災性能やセキュリティ分野、設備スペックや利便施設などの「アメニティ・ダイバーシティ」「リスクマネジメント」

④ とくに他より優れている取り組みを評価する「イノベーションポイント」

このような評価基準で、共同住宅(マンションなど)の他、オフィスビル、ロジスティクスセンター、商業施設の建築物が環境や社会に配慮されているかどうかをスコアリングして、評価が行われています。

(*1) 2021年10月現在ではSMBCサステイナブルビルディング評価なども運用されている
DBJやBELSなど住宅関連の環境認証の効果

 

国内のグリーンビルディング認証実績(オフィスビル)

DBJ GB認証を受けている多くの建築物では、LED照明や省エネ型空調などの導入でエネルギー分野の削減を進めています。そんななかでも太陽光発電の導入を進め、エネルギー分野の対応で抜きん出ている物件もあります。ここではその一例を紹介します。

■ オリナスタワー(日本プライムリアルティ投資法人/東京都墨田区)

2015年 極めて優れた「環境・社会への配慮」がなされたビル(5段階中4段階目)として認証取得。照明設備用に太陽光発電を導入。ほかに駐車場棟の屋上緑化など、さまざまな環境配慮技術を盛り込んでいる。

■ ツイン21(MCUBS投資法人/大阪府大阪市中央区)

2015年 非常に優れた「環境・社会への配慮」がなされたビル(5段階中3段階目)として認証取得。太陽光発電のほか、独立型の小型風力発電も導入しており、高い環境性能を保有している点が評価されている。

■ 高松シンボルタワー(シンボルタワー開発株式会社/香川県高松市)

2015年 極めて優れた「環境・社会への配慮」がなされたビル(5段階中4段階目)として認証取得。太陽光発電導入と自然通風システムの導入で評価を受けている。津波避難ビルとして地域社会貢献も特筆すべき点。

■ ヒューリック本社ビル(ヒューリック株式会社/東京都中央区)

2015年 国内トップクラスの卓越した「環境・社会への配慮」がなされたビル(5段階中5段階目)として認証取得。太陽光パネルの設置と全館LED照明の導入、アメリカ・マサチューセッツ工科大学と共同研究した自然採光技術の導入で、最高ランクの評価を受けている。

■ あべのハルカス(近鉄不動産株式会社/大阪府大阪市阿倍野区)

2015年 国内トップクラスの卓越した「環境・社会への配慮」がなされたビル(5段階中5段階目)として認証取得。再生可能エネルギーの最新技術を利用し、先駆的な環境性能保有を高く評価。また大阪ミナミの玄関口のひとつ(JR天王寺駅前・近鉄大阪阿倍野橋駅)として、ふさわしいアメニティの充実も評価された。

DBJ GB認証を受けることのメリット

冒頭でお伝えしている通り、DBJは日本政策投資銀行です。認証を受けることで授かるメリットは、金融機関らしく財政面に直結しています。

スコアリングによる物件価値の「見える化」

スコアリングされることで物件の価値が「見える化」でき、IRに明文化できます。これにより、顧客や投資家への広報活動に役立てることができます。さらにスコアリングの改善点も明確になり、向上させるための修繕計画や、支出面の見直しやオペレーションの改善などに役立てることが可能です。

運営体制の効率化や再構築

社会動向を反映した評価基準を採用していることにより、最新の情報とともにコンサルティングやフィードバックを受けることが可能です。これを基に、業務効率化や再構築を行い経営の健全化を常に図ることが可能です。

これらのメリットは、現時点でも将来的にも企業価値または商品(建築物)価値向上に貢献するもので、最終的には貴社の財務体制強化や、投資対象としても魅力最大化に繋げることが可能であり、経営基盤としてとても重要なウエイトを占めてくることがポイントです。

投資家の最新動向

ザイマックス総研が発表する「不動産リアルトレンド2021」レポートにはこのような記述がなされています。

不動産投資は代表的な中長期投資であり、ESG対応が不十分の不動産はリスクが高いと判定され、投資撤退の対象となるおそれがある。わが国の不動産市場においても、環境認証制度の定着、建築環境技術の進歩を通じ、環境不動産が増加しつつある。

出典:ザイマックス総研「不動産リアルトレンド2021」 10.1 コロナ前からのトレンド:ESGの誕生と投資家コンセンサス形成

このように、ESG対応が不十分な不動産は投資撤退の恐れがあり、ESG対応をしていることがアドバンテージではなく、むしろ足切りされないための最低限の取り組みと化していることが分かります。

この問題の解消にもDBJ GB認証は役立ちます。前述のメリットの部分でご説明した通り、対投資家に重要なブランディングやIR情報の発信に有益であるからです。

グリーンビルディング認証を受けていない建物はもはや時代遅れ

この記事では環境認証、とくにDBJ GB認証を取得したときのメリットを中心にお伝えしました。しかしザイマックス総研のレポートにあるように、すでにメリット重視でなにがしかの認証を受けるというよりは、認証をうけること自体がスタンダードになりつつあり、認証を受けていない建物はもはや時代遅れと言っても過言ではありません。

これまでESGの観点を持たずに、不動産の施工や販売を行って来たという企業は、可能な限り早めに取り組みを始めることをお勧めします。

「SDGsやESGに取り組まない企業」は淘汰される